伊勢丹新宿店メンズ館 ストアアイデンティティ 6F

Creative Direction|
伊勢丹新宿店メンズ館 ストアアイデンティティ 6F

自分らしさの物体練習

伊勢丹新宿店メンズ館の15周年に合わせた新ステートメント「男として、そして、人として」を制作し、リニューアルに合わせて設置された「ストア・アイデンティティ」を表現する2m各のキューブの展示プロデュース。

メンズ館がオープン以来提唱してきた「男」であること以上に、「人である」ことを意識していくことをメッセージとした。
ステレオタイプな「男らしさ」ではなく、ひとりの人間としての「らしさ」を叶える、メンズファッションストアであることを表現するべく、1、2、4、6階に「ストア・アイデンティティ」において、「文体物体身体解体練習 -EXCERSISES in PHYSICAL THINGS-」をテーマの展示とした。

6階では、「自分らしさの物体練習」として物をとおしてその人がどんな人間であるか探る展示を行った。
前期は1度に3名ずつ6名の方にこちらが用意した質問に対する答えになる私物をお借りして、それを一覧できる形式とし、
後期はなんでも毛布で包んでしまう現代美術家・江頭誠による毛布作品のインスタレーション形式とした。

様々なものがデータ化され、道具が集約されていく現代にあって、人と物の関係はファッション同様、様々に変化している。さらに、断捨離やシンプルライフ、片付けの魔法など、増え続ける物との関係を見直し、物を減らしていくことは限りある暮らしの空間にとって必要なことでもある。人は常に様々な選択をしている。物を選ぶ時、買う時、贈る時、捨てる時、拾う時、飾る時、使う時、そして仕舞っておく時も。同じ物を持っていたとしても、持ち主との関係は一様ではない。ある特定のテーマで物を選ぶ時、その人と物との付き合い方が浮き上がってくるのではないか。物との関係から、自分らしさの可能性を探った。

江頭の作品は、あらゆるものを花柄の毛布で包んでしまうことで、それぞれの個性は一度消失しながらも改めて毛布越しにぼんやりと現れてくる。ブランドなどの表層的な個性は消えるが、物としての輪郭や構造、立ち姿は残る。消えながら残る個性に、我々は何を見出すことが可能か。微細なマイナーチェンジ、モデルチェンジで消費を煽る/煽られる物と人間の関係を再確認する。

【展示参加者/日用品を作品制作の素材とするアーティスト】
毛利悠子(Artist site
金氏徹平(Artist site
青田真也(Artist site

【展示参加者/世界を旅する写真家】
石川直樹(Artis site
佐藤健寿(Artis site
田附勝(Artis site

【質問項目】
1 最も小さい大切なもの
2 最も手足や体に馴染んでいるもの
3 最も長く使い/持ち続けているもの
4 最も頻繁(毎日のように)に買うもの
5 自分のルーツを感じるもの
6 身近にある丸いもの
7 好きな花/好きな植物(図鑑で展示)
8 本来の用途とは違う使い方をしているもの
9 あなたの心を最もやわらげてくれるもの
10 自分の一部になっている音楽や映画、テレビ、本(複数可)
11 買えないけどほしいもの(絵や手書きの言葉、写真、切抜き)
12 誰かから譲り受けたもの
13 誰かに受け継いでいってほしいもの
14 100年後になくなっていると思う身近なもの

Information

Year

2019-2020

Display design

元木大輔(DDAA)